自転車の「専用レーン」なのに車がいっぱい。停車はNGじゃないの?警察庁に“正解”を聞いてみた【2025年回顧】

(図1)青色の「普通自転車専用通行帯」に乗用車が、その右隣の車線にパトカーがそれぞれ停車していたという ※2025年にハフポスト日本版で反響の大きかった記事をご紹介しています。(初出:11月16日) ◇ 「パトカーが自転車レーンを避け、走行車線に停車していた」 ーー。8月上旬、こんな投稿がXで話題になった。 投稿に添付された写真(図1参照)には、道路左側の 「普通自転車専用通行帯」 とみられる青い自転車レーンに一般の 「乗用車」 が、その右隣の走行車線部分に 「パトカー」 がそれぞれ停まっている様子が写っていた。 投稿主は現場で、警察官から 「パトカーの停め方が正しい」 といった旨の説明を受けたと投稿している。 とはいえ、一般ドライバーの感覚ではどうだろう。左側端に寄せず、車が通る走行車線に停めることに、違和感を覚える人も少なくないはずだ。 一方、左側端に寄せて停車すると、今度は自転車が普通自転車専用通行帯の上を通行できなくなる。 このようなケースの場合、どのように車を停めるべきなのか。警察庁に取材した。 「普通自転車専用通行帯」とは? 警察庁などによると、普通自転車専用通行帯とは、一般に利用される普通自転車が通行しなければならない車両通行帯のこと。 法令に基づく交通規制として設置されているため、普通自転車は原則ここを通行しなければならない。 しかし、実際には、この通行帯の上に、車が駐停車している光景を見かけることも多い。 実際、ハフポスト日本版の記者が11月7日、東京都台東区の不忍通り沿いを歩いていた時も、トラックやタクシーなどが普通自転車専用通行帯の上に駐停車していた。 このような状況では、自転車は後方の安全を確認しながら右隣の走行車線にはみ出し、駐停車中の車を避けて進む必要がある。 交通量の多い道路では、走行する車にはねられる危険が伴うほか、停車中の車の扉が突然開き、接触のはずみで自転車が道路中央に投げ出されるリスクもある。 一方、車の側も走行車線に停車すれば、後続車に追突される可能性も高まるかもしれない。 不忍通りに設置された普通自転車専用通行帯。その上にトラックとタクシーが停まっていた(11月7日、東京都台東区で)※画像の一部を編集しています 警察庁の回答は ハフポスト日本版は、話題になった投稿の写真(図1参照)を警察庁に示した上で、 「普通自転車専用通行帯がある道路では、車はどのように停めるのが適切なのか」 を尋ねた。 すると、広報担当から“一般論”という前提で、次のような回答があった。 「車両が人の乗降や貨物の積卸しで停車する際は、道路交通法(昭和35年法律第105号)第47条第1項により、(①) できる限り道路の左側端に沿い、かつ他の交通の妨害とならないようにしなければならない 旨が規定されている」 ここでいう 「道路」 とは、法第17条第4項の規定により 「車道」 を指す(歩道や路側帯と車道の区別のある道路の場合)。 その上で、図1の乗用車が停まっていた場所が、普通自転車専用通行帯だった場合、同通行帯は法第2条第1項第7号に定められた 「車両通行帯」 に該当することから、次のように停めるべきだとした。 「車両が(①)法第47条第1項の規定に従って停車する場合には、駐停車禁止規制がない限り、 普通自転車専用通行帯を含め、できる限り道路の左側端に沿うなどする 必要がある」 つまり、一般論としては、結果的に普通自転車専用通行帯の上に停車する形になったとしても、 「できる限り道路の左側端に沿って停車する」 ことが望ましいということだ。 一方、話題になった投稿のパトカーの停め方については、現場の交通規制の状況などが明らかではないため、一概に正しくないとは言い切れない。 同庁の担当者も、こう付け加えている。 「できる限り普通自転車専用通行帯がある場所での駐停車は避けていただくことが好ましい」 なお、普通自転車専用通行帯では、普通自転車だけでなく電動キックボードなどの特定小型原動機付自転車も通行できるという。 この場合も、駐停車禁止場所以外の場所であれば、できる限り道路の左側端に沿い、ほかの交通の妨害とならないよう停車することが望ましいとした。 明治通り沿いの普通自転車専用通行帯の上にも車両がたくさん停まっていた(10月8日、東京都北区で撮影)※画像の一部を編集しています 「自転車ナビマーク」との違い 自転車の安全な通行を促すために、東京都内では車道の左側端に 「自転車ナビマーク」 が設置されている場所がある。 警察庁への取材によると、普通自転車専用通行帯は法令に基づき設置される規制であることに対し、自転車ナビマークは法定外の表示だ。車道で 「自転車が通行すべき部分」 を示す必要がある場所に設置されている。 ちなみに、自転車ナビマークという言葉は、警視庁管内で設置されている図柄の名称で、一般的には 「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」 で示されている 「自転車のピクトグラム」 の図柄・名称を使用している。 また、 「自転車ナビライン」 というものが設置されている交差点もある。 ナビマークと同様、普通自転車は矢印の向きに通行しなければならず、車道を通行してきた自転車は、対面する車両用の信号機に従う必要がある。 警視庁は、 「自転車ナビマーク・自転車ナビラインには、『自転車優先』など法令上自転車を保護する意味はありません。車や歩行者に十分注意して運転してください」 と 呼びかけている 。 【画像】交差点に設置された「自転車ナビライン」がこれだ 【あわせて読みたい】この写真の中で“ルール違反”の「自転車」はどれ?読者の反響が大きかった「自転車クイズ」3選 Related... 自転車、こんな運転は「取り締まりの対象」に。来年4月から「青切符」導入、歩道などで“してはいけない”運転とは? 【クイズ】この写真の中に“交通ルール違反”の「自転車」がいます。あなたはわかる? 【クイズ】自転車で歩道を通行する場合は、「車」用の信号機に従う?⇨答えは… ...クリックして全文を読む