ガザのジャーナリストの家族ら700人超をイスラエル軍が殺害、ジャーナリスト組合が報告「人道的・法的規範を踏みにじる行為」

イスラエルによる攻撃で殺害されたパレスチナ人ジャーナリスト、Ahmed Abu Mutairさんを悼む人々。遺体は白布に包まれ、上には青いプレスベストが置かれていた。(2025年10月20日、ガザ地区デイルアルバラ、撮影:Abdalhkem Abu Riash) パレスチナジャーナリスト組合(PJS)は12月27日、2023年10月以降、パレスチナ人ジャーナリストの家族・親族の少なくとも706人がイスラエル軍に殺害されたとする報告書を発表した。 同組合は、ジャーナリストに対するイスラエルの暴力が「より危険で残虐な段階へと進化し、家族や親族を標的にするという形を取っている」と述べ、無作為な戦時被害ではなく、意図的な戦略を示すものだと指摘している。 「人道的・法的規範を踏みにじる行為」 中東の衛星放送局 アルジャジーラ によると、PJSの自由委員会は報告書で、イスラエル軍が殺害したジャーナリストの家族・親族は2023年に436人、2024年に203人、2025年に少なくとも67人に上ると公表。多くの家族が強制的に避難させられ、避難テントや仮設キャンプに身を寄せた後も殺害は続いたという。 イスラエルの攻撃は、ジャーナリストの自宅や避難先のほか、メディア関係者やその親族がいると知られている地域にまで及んでいる。一家全員が抹殺され、ジャーナリスト本人だけが生き残るケースもあるという。 委員会はイスラエルによるこうした攻撃について、個人の標的化から集団的懲罰へと移行する「質的転換」だと表現する。家族を標的にすることで、イスラエルはガザの社会全体を脅し、「メディアを育む環境を干上がらせる」ことを狙っていると委員会は指摘している。 また、「何百人もの子ども、女性、高齢者が、家族の誰かがジャーナリズムに携わっているという理由で殺害された。これは、あらゆる人道的・法的規範を露骨に踏みにじる行為だ」と批判した。 イスラエル、3年連続で「最もジャーナリストを殺害した国」に ガザ当局の発表によると、2023年10月以降、ガザでは少なくとも257人のパレスチナ人ジャーナリストが 殺害されている 。 PJSは、多くのジャーナリストたちは殺害された当時、プレスバッジや防護装備を着用して明確に識別可能な状態であったことや、報道関係者がいると知られている場所で取材活動を行っている最中だったと報告している。 また多数のジャーナリストが頭部や胸、腹などに攻撃を受け、切断や麻痺、失明などの身体的被害を受けていることや、イスラエル軍だけでなく入植者からも攻撃の危険があると言及している。 PJSの自由委員会のムハンマド・アル=ラッハーム委員長は、イスラエル軍の攻撃について「保護の対象であるジャーナリストたちを体系的に標的にしたものであり、武力によってメディアを沈黙させるという公式方針の枠組みの中で行われている」と述べ、戦争犯罪および人道に対する罪を構成するものだと訴えている。 国際NGO「国境なき記者団」(RSF)の12月の 報告書 によると、2025年に世界で殺害されたジャーナリストのうち43%が、ガザでイスラエル軍によって殺害された。イスラエルは、 3年連続 で「 最も多くのジャーナリストを殺害した国」となっている。 Related... 「虐殺加担の政府はいらない」防衛省によるイスラエル製の攻撃用ドローン購入に市民が抗議 「もし死ぬのなら、響き渡る死を望む」。ガザのフォトジャーナリストの生きた証を記録、映画「手に魂を込め、歩いてみれば」が日本公開 ガザ「停戦」後もイスラエルのジェノサイドは継続、アムネスティが報告。「正常に戻りつつあるという危険な幻想が生まれかねない」 ...クリックして全文を読む