「モードの帝王」と呼ばれ、20世紀を代表するファッションデザイナーの一人として知られるイヴ・サンローラン(Yves Saint Laurent)が1962年に創設した「イヴ・サンローラン(Yves Saint Laurent)」。現在は「サンローラン(SAINT LAURENT)」として親しまれる同ブランドの、創業デザイナー時代の知られざる功績や日本にまつわる歴史を、元モード誌編集者・跡見学園女子大学准教授を経て、現在ファッションジャーナリストとして活動する横井由利氏が全5回の連載で振り返る。 オートクチュール、プレタポルテ、ライセンスビジネスを通してブランドが日本市場に浸透していった過程を紐解いた前回。続く第3話は、ムッシュ・サンローランが自ら来日し開催したファッションショーの歴史をたどる。 デザイナーが来日してファッションショーを開催するのは、ブランドが上陸してから周年を迎える節目の年や、新店舗がオープンするときなど、顧客やメディアにアピールするタイミングを考慮してのこと。日本サイドの準備期間、費用を考えると、シーズン毎の新作お披露目ショーと同じというわけにはいかない。この回では、ムッシュ・サンローランが逝去するまでに日本で開催したファッションショーにはどのような意味があったのか、他ブランドのデザイナー来日ショーと比較しながら述べていく。(文:横井由利) このコンテンツは FASHIONSNAP が配信しています。