なぜ赤ワインは「長寿」と結びつけられてきたのか。複雑すぎる「少量の飲酒の影響」

「赤ワインで長寿」は本当なのか 毎年1月の「ドライ・ジャニュアリー(禁酒月間)」の時期になると、アルコールの危険性が強調されがちだ。 認知症リスクを高める 、 がんの原因 になる、命を縮める――。そうした可能性に言及する警告は後を絶たない。 それでも疑問は残る。 なぜ 「ブルーゾーン」 と呼ばれる長寿地域の100歳以上の人々の多くは赤ワインを飲んでいるのか。なぜ米国心臓協会は「少量なら心臓発作のリスクを下げる可能性がある」としているのか。そして、アルコールが悪いなら、なぜ研究結果が一貫していないのか。 そこでハフポストUS版は、赤ワイン、そしてアルコール全般が寿命に与える影響について、専門家に話を聞いた。 なぜ赤ワインは「長寿」と結びつけられてきたのか Netflixのドキュメンタリー 『Live To 100』 では、長寿研究者ダン・ビュイトナー氏が「ブルーゾーン」と呼ばれる地域に住む人々の生活習慣を紹介している。これらは世界でも特に長寿の人が多い地域で、イタリアのサルデーニャ島とギリシャのイカリア島では、赤ワインを飲むことが日常の重要な習慣の1つとなっている。 ビュイトナー氏はハフポストUS版へのメールでこう語った。 「地中海のブルーゾーンでは、多くの人が家族や友人と食事をしながら、地元産の赤ワインを1〜2杯飲んでいます。アメリカ人より平均で約10年長く生きていますが、それがワインのおかげなのか、社交的なつながりなのか、あるいは両方なのかは分かっていません」 こうした地域の人々は、ワイン以外にも健康的な生活習慣を持っている。果物や野菜中心の食事、強い家族や地域のつながり、日常的な運動。こうした要素が、適度な嗜好よりも大きな影響を与えている可能性もある。 米バンダービルト大学看護学部の名誉教授 マリアン・ピアノ氏 は、 「飲酒が健康的なライフスタイルの一部になり得るかどうかは、まだ分かっていません」 と語る。 「過剰な飲酒、つまり1日2杯を超える量が多くの心血管系の悪影響と関連していることは明らかです。議論になっているのは、少量から中程度の飲酒についてなのです」 その「議論」とは 大量飲酒や一気飲みが健康問題につながることは明確だが、少量の飲酒の影響はより複雑だ。 心血管疾患の発症リスクという観点から、軽度の飲酒者は、まったく飲まない人や大量飲酒者より死亡率が低いという研究もあるが、この内容を否定する研究結果も出ている。 アルコールの影響についてはまた、少量であれば2型糖尿病のリスクを下げる可能性もある。 内分泌専門医 スティーブン・ザイグモント医師 はこう語る。 「1日5〜10オンス(約150〜300ml)の適度な飲酒は、2型糖尿病の発症リスクを下げる可能性があるとされています。体重がわずかに減ったという研究結果もあります。糖尿病患者でも、特に赤ワインを適量飲むことで血糖値が改善するケースが見られています」 ポリフェノールが影響して、赤ワインが他のアルコール飲料よりもわずかに良い効果をもたらしている可能性もある。もしくは人々が赤ワインを飲む際の習慣や飲み方そのものが関係しているのかもしれない。 ただし、こうした情報は誤解を招きやすく、公衆衛生上のメッセージとしては非常に難しい。 「アルコールには多くの危険性があるため、伝え方がとても難しいのです」 とハーバード大学T.H.チャン公衆衛生大学院の疫学・栄養学教授 エリック・リム氏 は言う。 「果物や野菜をもっと食べましょう、と言っても週末に“ドカ食い”する人はいません。でもアルコールは、量だけでなく飲み方のパターンも同じくらい重要なのです」 さらに、アルコールは依存性があるため、1杯が2杯、3杯に増えやすい。少量ならリスクは低くても、量が増えれば健康リスクは急激に高まる。 加えて、アルコール(ワインを含む)は発がん性物質でもある。アメリカでは心疾患に次ぐ第2の死因はがんであり、がんリスクに関しては「安全な量」は存在しない。 「がんに関するリスクは軽視すべきではなく、個人ごとに考える必要があります」 とピアノ氏は言う。 「家族にがんの既往歴が多い場合は、飲酒量を減らす、もしくは飲まないという選択も検討すべきです。慢性疾患のリスクを下げる方法は他にもたくさんあります」 賢い選択をするために では、長寿という観点でワインはどのような位置づけになるのだろうか。 「ブルーゾーン」に位置するサルデーニャやイカリアの例を見ると、ワインは「健康的なライフスタイルの一部」として食事とともに楽しまれている。社交の場で食事とともにゆっくり飲むことで、量が抑えられ、体への負担も軽減される可能性がある。 「赤ワインは、むしろ健康的な食習慣や運動と結びついているのだと思います」 とピアノ氏は語る。ワインを好む人や食事と一緒に飲む人に、わずかな 保護効果 が見られた研究もあるという。アルコールの吸収が緩やかになることや、赤ワインを好む人のライフスタイルが影響している可能性がある。 「現時点では不明な点があまりにも多すぎます。ただ一つ明らかなのは、飲み過ぎ(1日2杯を超える量を含む)は、さまざまな心血管系への悪影響と関連しているということです」 とピアノ氏は語った。 たとえワインに何らかの予防的効果があるとしても、それには明確な限界がある。 飲酒量が多い人は心臓発作、高血圧、脳卒中のリスクが大幅に高まる。認知機能の低下も、少量では低リスクだが、大量飲酒では 認知症 のリスクが上昇する。 糖尿病 も同様だ。 2023年には、カナダ依存症研究センターが人々の理解を助けるため、リスクを段階的に示した チャート を公開した。 「アルコールについて“一言で言い切る”ことはできません」 とピアノ氏は言う。 「しかし公衆衛生の観点では、がんや慢性疾患のリスク、そして飲酒量が増えるほど害が大きくなることを強調する必要があります。何をどれだけ飲んでいるのか、より意識的になることが大切です。自分のリスクを理解するべきです。その後は自分次第です」 では、飲むなら赤ワインがベストな選択なのだろうか。 成分的にわずかな優位性がある可能性はあるが、最大の利点は飲み方や、それを取り巻く習慣や伝統にあるのかもしれない。明確な答えは出ていないが、ひとつ確かなのはこうだ。 もし赤ワインを楽しむなら、量は控えめに。長寿にとって本当に重要なのは、ワインそのものよりも、健康的な食事と良い人間関係なのだから。 ハフポストUS版 の記事を翻訳・編集しました。 Related... 日本人が1カ月にするセックス平均回数は?セックスレスについての実態も明らかに【調査結果】 アメリカで人気急増中の「プロテイン系」おやつに懸念の声。日本ではおつまみとして人気 アメリカで広がる「ケモフォビア(化学物質恐怖症)」とは?ナチュラル、ワクチン不信…背景には何が ...クリックして全文を読む