製品開発を含むマーケティング戦略の継続が50年以上の「卓越性の物語」を支えるが、戦略の徹底にはガバナンス構造も寄与する。ロレックスは1960年以来、創業者ハンス・ウィルスドルフ氏が設立した財団の100%所有下にあり、株主への利益還元ではなく長期的な成長を事業の目的とする。上場するリシュモンやスウォッチ・グループは配当金の支払いや自社株買いに資金を投じるが、それがないロレックスは利益を再投資に回しやすい。モルガン・スタンレーなどの推計による過去10年間の累計売上高の利益率を高級品業界で平均的な20%とすれば、蓄積された利益は100億スイスフラン以上ある。これを世界中の不動産や金融市場に投資し増大させるため銀行からの独立性も強い。財団のメンバーは理事会による指名で、理事会がロレックス取締役会のメンバーを選出する。