スタジオジブリの宮﨑駿監督は、2023年公開の映画「君たちはどう生きるか」の制作終盤から、新たな取り組みとして、「パノラマボックス」と呼ばれる展示物を制作してきた。宮﨑監督が自ら描き下ろした絵を、箱の中で立体的に組み合わせたものだ。 【画像】ハウルや魔女宅も!宮﨑駿監督が新たに描き下ろしたパノラマボックス 「風の谷のナウシカ」「もののけ姫」「魔女の宅急便」などこれまでの長編アニメから短編アニメ、そしてオリジナルの新作まで、その数は31点にも及ぶ(作品リストは記事末に記載)。これらは愛知県長久手市にあるジブリパークで展示するために作られ、7月8日よりパーク内「ジブリの大倉庫」で公開される。 3月17日に取材会が行われ、都内のスタジオジブリを訪ねると、パノラマボックスの中には、アニメーションとは一味違うジブリの世界が広がっていた。 スタジオジブリの第1スタジオ 宮﨑監督発案のパノラマボックスとは、箱の中に描かれた絵をのぞき込むと、映画のワンシーンのような奥行きのある風景が広がって見える、仕掛け絵のようなもの。キャラクターや背景画などが別々に描かれ、それを何層にも分けて配置することで、見る視点によって異なる光景が目に飛び込んでくる。 取材会に参加した宮﨑吾朗監督と鈴木敏夫プロデューサーによると、アイデアの源は、宮﨑駿監督自身が子どもの頃に夢中になって作っていた、キャラメルお菓子のおまけでついていた紙細工だという。 材料は紙と鉛筆と絵の具とペンで、特別なものは使っていない。美術の吉田昇さん、制作補佐の高屋法子さんが関わっているものの、設計図があるわけではなく、ラフなレイアウトをもとに、宮﨑監督自身がイラストを描き下ろし、挟みで切ったパーツを足したり外したりの試行錯誤を繰り返し、完成させたとのことだ。 ♦︎となりのトトロ/「ねむいよー」 たとえば、<となりのトトロ/「ねむいよー」>では、一番奥にはトトロとそのお腹の上に乗るメイの絵が配置されている。その周りを取り囲むように植物が描かれた絵が重なることで、トトロとメイが深い森の中で仲良く眠りにつく、あたたかな雰囲気を醸し出していた。 <となりのトトロ/「ねむいよー」>を正面から見た様子 <となりのトトロ/「ねむいよー」>を右から見た様子 ♦︎風の谷のナウシカ/「ワァーごめん」 <風の谷のナウシカ/「ワァーごめん」>では、一番奥の背景には腐海の主である巨大なオーム(王蟲)が描かれている。他の生き物たちが飛ぶ中、ナウシカはメーヴェに乗って飛行しているという構図。腐海の森を表現するための独特の色使いを、じっくりと見ることができる。 <風の谷のナウシカ/「ワァーごめん」>を正面から見た様子 <風の谷のナウシカ/「ワァーごめん」>を右から見た様子 ♦︎千と千尋の神隠し/「鬼のふろ屋」 <千と千尋の神隠し/「鬼のふろ屋」>では、千尋とカオナシが渡る橋の下に鬼がいるという、劇中にはなかったシーンが描かれていた。ボックス内の下を見ると、色々な形をした鬼や生き物がお風呂を楽しんでいる様子が目に入ってきた。細部まで作り込まれているため、時間をかけて隅々まで見たくなるのがパノラマボックスの魅力だ。 <千と千尋の神隠し/「鬼のふろ屋」>を正面から見た様子 <千と千尋の神隠し/「鬼のふろ屋」>の下に描かれた鬼たち 新作は3つあり、作品名は「ブタが帰ってきた!」「船の墓場」「人魚姫」。「ブタが帰ってきた!」と「人魚姫」は制作最中とのことで、取材会で展示されていたのは「船の墓場」のみ。パノラマボックスに描かれたシーンから、宮﨑監督の頭の中にはどんなストーリーが広がっているのか想像してみるのも、楽しみの一つだろう。取材会では撮影不可だったため、ぜひジブリパークに足を運んで見てほしい。 取材会の前には、敷地内にある、ジブリで働くスタッフのための保育園に通う子どもたちにお披露目会をしたそう。吾朗さんは、子どもたちの反応を見た宮﨑監督が「子どもたちのためのジブリが帰ってきた」と喜んでいたと明かした。パノラマボックスの高さは子どもの目線にあわせて作ったため、「しゃがんで、子ども目線の風景を楽しんでほしい」と呼びかけた。 (取材・文=若田悠希/ハフポスト日本版) © 1988 Hayao Miyazaki/Studio Ghibli ♦︎パノラマボックスの全作品名 君たちはどう生きるか/「黄金の門」 となりのトトロ/「のりますか?」 風の谷のナウシカ/「ワァーごめん」 崖の上のポニョ/「海のお母さん」 となりのトトロ/「はじめての出会い」 君たちはどう生きるか/「ワラワラ」 千と千尋の神隠し/「鬼のふろ屋」 崖の上のポニョ/「いってくるねーッ」 もののけ姫/「群狼」 魔女の宅急便/「オーイあぶないよ」 となりのトトロ/「ねむいよー」 崖の上のポニョ/「怪船あらわる」 ハウルの動く城/「お茶にしましょう」 ハウルの動く城/「空中散歩」 君たちはどう生きるか/「インコ帝国」 魔女の宅急便/「おるす番」 紅の豚/「アジトにて、水クミ」 千と千尋の神隠し/「釜じい」 星をかった日/「星をかった日」 紅の豚/「ホテルアドリアーノ」 魔女の宅急便/「おとどけものある?」 風の谷のナウシカ/「巨神兵」 天空の城ラピュタ/「タイガーモス」 星をかった日/「難民船の夜」 新作/「ブタが帰ってきた!」 水グモもんもん/「マッカチン」 風立ちぬ/「空へ」 となりのトトロ/「へんなの?」 新作/「船の墓場」 新作/「人魚姫」 天空の城ラピュタ/「天空の城」 【あわせて読みたい】 ジブリの宮﨑駿監督、85歳で「絵の力、衰えずに進化」。新作映画の可能性を問われた鈴木敏夫Pは、どう答えた? 関連記事 【画像集】宮﨑駿描き下ろしのパノラマボックス ジブリの宮﨑駿監督、85歳で「絵の力、衰えずに進化」。新作映画の可能性を問われた鈴木敏夫Pは、どう答えた? ジブリ映画「魔女の宅急便」の北米IMAX版ポスターが「日本と雰囲気違う」「おしゃれ」と話題。日本版と比べると? ...クリックして全文を読む