筆者は、市井の人々の台所を訪ね、普通の食卓を取材する連載を続けてきた。そこで出会ったのが、食に何のこだわりももたない貧乏バンドマンだった。冷蔵庫に食材はなく、取材は失敗に終わると思われたが、彼が毎日食べるという食材がロフトに隠されていた。そこに込められた意外な想いとは。※本稿は、エッセイストの大平一枝『台所が教えてくれたこと ようやくわかった料理のいろは』(平凡社)の一部を抜粋・編集したものです。