Collector
  • X (Twitter)
Giriş Yap
社会に「絶望しかけた」あなたに知ってほしい、「見えなくされてきた」女性たちの歴史。翻訳家がどうしても日本に届けたかった歴史本とは | Collector
社会に「絶望しかけた」あなたに知ってほしい、「見えなくされてきた」女性たちの歴史。翻訳家がどうしても日本に届けたかった歴史本とは

社会に「絶望しかけた」あなたに知ってほしい、「見えなくされてきた」女性たちの歴史。翻訳家がどうしても日本に届けたかった歴史本とは

『絶望しかけた女子のための世界史』(大和書房) 「声を上げ、創造し、闘った女性たちが確かに存在したのに、その姿は長い間、見えなくされてきました」 フランス人ジャーナリストで作家のティチュー・ルコックさんによる『絶望しかけた女子のための世界史』の日本語版が3月、フランス語翻訳家・鳥取絹子さんの訳で大和書房から出版された。 女性蔑視や家父長制などは、歴史の中でどのようにして始まり、なぜ根付いてしまったのか。そして、女性たちは歴史の中で差別や理不尽とどう闘ってきたのかーー。 「何世紀も前から忘却のかなたに追いやられていた女性たちを忘れないための闘いの試み」という同書では、学校の授業では習わなかった歴史上の女性たちについて、女性ジャーナリストや研究者による取材・研究を元に紹介している。 フランスでベストセラーとなった同書を「日本にも届けたい」と出版社に翻訳を提案した鳥取絹子さんに、その思いを聞いた。 鳥取絹子(とっとり・きぬこ)フランス語翻訳家、ジャーナリスト。お茶の水女子大学卒業。訳書に『フランス人は子どもにふりまわされない』(CEメディアハウス)、『帝国の最期の日々』(原書房)、『私はガス室の「特殊任務」をしていた』、『理不尽な国ニッポン』(すべて河出書房新社)など多数。 悩む女性たちの声。日本に「届けたい」と思ったフランスのベストセラー ──日本語版の翻訳は鳥取さんご自身が企画・提案されたと、訳者あとがきに書かれていました。経緯を教えてください。 フランス語翻訳の仕事をしているので、フランスのニュースや雑誌も日々、チェックしています。週刊誌にベストセラーとして掲載されていて、この本を知りました。 2021年にフランスで発売された同書(原題『忘れられた偉大な女性たちー歴史はなぜ彼女たちを抹消したのか』)は16万部超えのベストセラーになって、漫画化もされているんです。 読んでみて、これは面白いと思い、翻訳を提案しようと思いました。 ──翻訳者自らが企画し、出版社や編集者に売り込むこともよくあるのでしょうか。 これまで、60冊以上のフランス語の本を翻訳してきましたが、8割ほどは自分で提案・企画した本だったかもしれません。 フランスのニュースや雑誌で話題になっているものから、気になる本を見かけたら取り寄せて、「面白い」「日本の読者に合うんじゃないか」と思ったら企画書をまとめ、それを持って編集者に提案します。 ──この本を日本の読者に届けたいと思われた理由は。 やはり、ジェンダーの視点だと思います。日々ネットを見ていると、今も悩んでいる女性たちの声をたくさん見かけます。 少しでも「こういう考えもあるよ」「こんなにはっきりと示してくれている本があるよ」と伝えて、女性たちの支えになればと思いました。 あくまでも著者がいて、私に出来ることは翻訳だけですが、少しでも力になれればと思っています。 ──企画を提案しても、最初はスムーズに行かなかったということです。 初めは大手の出版社複数社に提案しましたが、男性の編集者だったこともあったのか、「この種の本はたくさんありますね」と、長い間ペンディングになっていたんです。 そこで、大和書房の編集者・藤沢陽子さんに提案したところ、大和書房から出版できることになりました。 強い違和感を感じていた「性的役割分業」。この本で知った、その歴史 『絶望しかけた女子のための世界史』を手に取材に応じる鳥取絹子さん ──本の中で印象に残った視点は。 全部おもしろいと思いましたが、本にもあった「性別役割分業」は以前から、私自身も嫌だと感じていました。 私は気が強い方だし、嫌なことは嫌だとわりと言える方なので、そこまで我慢はしていないと思います。でも必ずしも周りの人はそうではなかったし、第二次世界大戦の終戦後すぐに生まれて、「こんなバカなことが」と思うことがたくさんありました。 本では性別役割分業という考え方が始まってしまった背景なども知ることができ、興味深かったです。 ──女性蔑視的な考え方や、家父長制なども歴史の中でどのようにして始まり、どう根付いてしまったのかという点が、各章で詳しく書かれていましたね。 やはりそのような女性差別は自然に生まれたのではなく、支配側の立場に立つ人間の意図があって生まれたものだったということが分かりましたね。 他には、学校でも習ったような、哲学者のルソーやヴォルテール、劇作家のモリエールが、女性蔑視的な内容を書いていたと知り、驚きました。 ルソーの代表的な教育についての著作『エミール』は現代でも広く読まれていると思いますが、「女性は男性に気に入られ、役に立ち、愛してもらわなければ」なんてことを書いていたと知って、怒りに近い感情を覚えました。 素晴らしい文学だと学んだはずが、いかに女性を家の中に押し込めておくかというようなことが書かれていたのですね。 社会に「絶望しかけた」人たちに知ってほしい、女性たちの歴史 自宅で取材に応じる鳥取絹子さん ──日本語に翻訳し、日本の読者に届ける上で、気をつけたことはありますか。 フランスの文化や歴史的背景を分かっていないと理解しにくい箇所には補足するなど、編集者の意見も取り入れ、日本の読者にも届く様にフォローしました。 やはり一人で翻訳していると独りよがりになってしまうので、編集者の目線も大切にしています。 私は翻訳家の他にジャーナリストという肩書きもありますが、翻訳でも伝わりやすく、分かりやすい文章にするというのは、ジャーナリストとして文章を書く仕事から身についたようにも思います。 ──タイトルは原書の『忘れられた偉大な女性たちー歴史はなぜ彼女たちを抹消したのか』から、日本語版では『絶望しかけた女子のための世界史』と、ガラッと変わっていますね。 翻訳する場合、本のタイトルは全然違うものに変わることが多いです。 タイトルは担当編集の藤沢さんが考えてくれたものなのですが、提案された時はとても素晴らしいと思いました。 「どうやって『絶望しかけた女子のための』というフレーズが出てきたの?」と聞いたんです。 すると藤沢さんは「世の中や政治に対して、絶望したくないけれど絶望させられるようなことが次々と起きていることへの憤りのようなものがあるのかもしれません。ただ、絶望しかけた、は絶望してはいないのです。そこにはまだ希望があると思います」と話していました。 このタイトルに惹かれて、手に取ってくれる人も多いと聞きます。 タイトルには「女子のための」とありますが、性別関係なく多くの人に読んでほしいです。 (取材・文=冨田すみれ子/ ハフポスト日本版) 【あわせて読む】 『私たちに名刺がないだけで仕事してこなかったわけじゃない』、韓国人女性へのインタビュー集が浮き彫りにした「誰かの犠牲が前提」の社会 Related... 『私たちに名刺がないだけで仕事してこなかったわけじゃない』、韓国人女性へのインタビュー集が浮き彫りにした「誰かの犠牲が前提」の社会 介護・家事の女性への「偏り」、災害でより浮き彫りに。ある映画が追った福島の家族と、見えてきた「家父長制」的な価値観 女性たちの夢を「ミシン」で応援する。日本人女性がフィリピンにつくった、無償のファッションスクールの挑戦 ...クリックして全文を読む

Go to News Site