ハフポスト日本版
イメージ写真 育児はマルチタスクです。新生児は母乳やミルクを飲みながら排泄をすることが多いし、離乳食を食べる際は汚すので、食べ終えたら手や顔を拭いて着替えさせ、食器も片付けます。ハイハイや伝い歩きで動き回るようになると、あやしながら家事をしないといけないこともあります。 私はADHDの特性によりマルチタスクが苦手です。何かに集中するとそのことにばかりに気を取られ、ほかの作業がおろそかになってしまうのです。学生の頃にアルバイトをしたパン屋は3週間でやめてしまいました。そのパン屋は駅のホームにあったため、電車が来るたびにお客さんがどっと押し寄せ、口頭で注文を受け、そのパンを探して取り出し、お会計をして商品を渡すという工程がどうしてもできなかったのです。 マルチタスクが苦手です そんな私は2025年夏に出産し、親になりました。妊娠中は育児への解像度が低く、「多くの人が育児できているのだからまぁ大丈夫でしょ」としか思っていなかったのですが、いざ始まると育児書だけでは読み取れなかったマルチタスクが待っていました。 ADHD母の育児、当初はどうなることかと思っていましたが、便利なアプリを使ったり、少しの工夫を取り入れたりすることで、育児をこなせるようになりました。 特性による脳内の混乱をできるだけ少なくし、負担を軽くするため私が取り入れているスマホアプリやハックをご紹介します。 ミルクの時間や量、オムツ交換などを記録 ◾️育児記録アプリ「ぴよログ」 育児中の多くの人が使っている有名アプリ「 ぴよログ 」。 ミルクの時間や量、オムツ交換、睡眠などの記録ができます。アプリがない時代はノートに手書きしていたそうですが、このアプリは「ミルク」「オムツ」など選んでタップすればいいだけなので一瞬で記録できます。 ミルクやオムツ、睡眠時間は前回からどれくらい時間が空いているかも表示されるので、「前回のミルクから3時間経っているから、今泣いているのはミルクが欲しいのだろうな」と、ある程度想定することも可能です。 また、ミルクの量や睡眠時間を棒グラフで表示してくれるので、記録を振り返ることもできて、健診などで「1日にミルクはどのくらいの量を飲んでいますか?」などと医師にきかれた際も、このアプリを見ればすぐに伝えることができます。 ミルクの時間や量、オムツ交換、睡眠などの記録ができるアプリ「ぴよログ」 複雑な予防接種スケジュールをこれひとつで管理 ◾️予防接種アプリ「ぴよログ予防接種」 2カ月を過ぎると予防接種が始まります。この予防接種のスケジュール作成がとっても複雑なんです。1度に3、4種類接種しないと推奨期間内に打ち終わりませんし、ワクチンを打ったら次のワクチンを打つまで一定期間空けないといけません。それらを考慮しながらスケジュールを考えるのは大変です。 特に、私は算数LD(知的な問題はないが、簡単な暗算ができない発達障害の一種)があるので、日数を数えるのも苦手です。どうすればいいのか途方に暮れていたときに知ったのが「 ぴよログ予防接種 」でした。 このアプリを使えば、どの期間にどのワクチンを打てばいいのか、接種期間や回数(何度か打たないといけないワクチンが多い)が表示されます。接種したらその記録をつけると、次回打つ時期や種類も表示されるので、簡単にスケジュールを立てられます。 また、前出の「ぴよログ」と連携しているので、生年月日など子どもの情報を新たに入力する必要もありませんし、ぴよログの方にも摂取した日時が反映されます。 「様子を見ながら進める」の壁をクリア ◾️離乳食アプリ「ステップ 離乳食」 5、6カ月頃から開始する人の多い離乳食。十倍粥小さじ1からスタートし、にんじんやほうれん草といったアレルギーの心配の少ない野菜から順に食材を増やし、様子を見ながら進めていきます。 でも、厄介なのがこの「様子を見ながら」というざっくりとした表現です。発達障害の特性により、どのくらいのペースで進めればいいのか、どんな順で食材を増やしていけばいいのか、硬さはどのくらいがいいのか、具体的な説明がないとわからないのです。 そこで私が使っているのが「 ステップ 離乳食 」です。離乳食のアプリはいくつか種類がありますが、離乳食のスケジュールがあり、与える量も小さじの単位やグラム数で書いてあります。不安な人はこの通りに進めていけば間違いはありません。また、その時期に合わせた柔らかさのお粥・にんじん・豆腐の写真も載っているので、作る際はその写真くらいの柔らかさを参考にできます。 ただひとつ、注意点が。1カ月も経つと一度に食べる品が4、5品に増えます。スケジュール通りに進めていた私は、一言一句間違わずにスケジュールに書かれた食材を食べさせていました。 「明後日はキャベツがメニューにあるから、今日買って明日までにすりつぶして冷凍保存しておかなきゃ!」 そんな風に冷蔵庫にないものを急遽買いに行き、「必ずこの通りにしなければ」と厳密にやりすぎて疲れてしまいました。そんなとき、産後ケア(出産後に助産師などの専門家が母体のケアや育児指導などをしてくれるサービス)のデイケアで離乳食を4品持参して食べさせていたら、助産師さんに「品数が多くてすごく頑張っていますね。でも疲れている日は冷凍のミックスベジタブルのお粥にしちゃっていいんですよ。ミックスベジタブルなら親もスープにして食べられますし」と言われ、肩の荷が降りました。 それ以降、アプリのスケジュールはあくまで参考程度にして、冷蔵庫の在庫状況に合わせて食べさせています。 完全ミルク育児で夜間のお世話はシフト制 ADHDの特性のある人は、定型発達の人と比べて余計な情報もキャッチしてしまうため脳が疲れやすく、睡眠時間を多くとる傾向にあります。 産後すぐは母乳とミルクの混合育児でしたが、母乳は授乳するだけで体力を奪われるなどの理由で、2カ月半頃から完全ミルク育児にしました。 ミルクならば夫でも飲ませることができるため、夫に任せて休めます。特に夜間授乳は、今は完全に夫の担当にして私は寝て体力を温存しています(その代わりに夫は午前中に仮眠をとって、その間は私が赤ちゃんの世話をしています)。 完全ミルク育児だと哺乳瓶の洗浄・消毒・乾燥の手間がかかるので、そうした労力は便利グッズに任せようと、哺乳瓶の消毒から乾燥までボタン一つでできるピジョンが出している機器「ポチット」を購入。1万4000円ほどしましたが、完全ミルク育児ならこれがあるだけで消毒をする時間を省けるため、睡眠時間にあてられます。一般的に生後3カ月を過ぎると哺乳瓶の消毒をしなくてもいいと言われますが、哺乳瓶だけでなく、歯固めやオモチャなども消毒できるため、まだまだ使う予定です。 どうしても荷物が多くなってしまう、赤ちゃんとのお出かけ マザーズバッグの中身はそのままに 赤ちゃんとのお出かけは荷物が多いです。私のマザーズバッグは、哺乳瓶、液体ミルク、キューブタイプのミルク、着替え(肌着と服)、オムツ(4、5枚)、おしり拭き、おむつ替えシート、ガーゼ、タオルハンカチ、ウェットティッシュ、ティッシュなどでパンパンです。このうちどれかを忘れてしまうと非常に不便だし、赤ちゃんが泣き止まなくなってしまいます。 特性により忘れ物の多い私ですが、赤ちゃんとのお出かけ時に忘れ物をしないよう、基本的にマザーズバッグの中身は補充の時以外は触らずそのままにしています。 LINEはメモ代わり。文字にして残す 育児が始まってからは買うものが増えました。大人だけなら問題ないことでも、赤ちゃんがいると離乳食の材料や衛生用品など、ないと困るものでいっぱいです。買い物の際、買うものをメモしておくことが重要ですが、ADHDの私はそのメモを持って行くのを忘れてしまいます。 そこで、夫を巻き込んで、夫へのLINEを買い物メモの代わりに使っています。LINEなら文字で残せて持ち歩けますし(スマホはいつも首紐ストラップで下げているかポケットに入れているので)、LINE内で検索して確認もできます。 どんな人でも大変な育児。無理に完璧にやろうとすると心身ともに疲弊してしまいます。アプリやハックにうまく頼って、時にはリフレッシュし、笑顔で子どもの成長を見守りたいものです。 (文: 姫野桂 編集: 毛谷村真木 /ハフポスト日本版) Related... 精神科医・本田秀夫さんに聞く、発達障害のある子どもの育て方で大切なこと 「算数LDで生理日を予測できず、毎日ナプキンをつけていた」発達障害による生理の困りごととは? 「いい大学を出てるのにこんなこともできないの?」高学歴の発達障害者が抱える苦悩 ...クリックして全文を読む
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