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【風、薫る】“憑依系俳優”上坂樹里演じる主人公・大家直美を解説。口の悪さの裏にある「優しさとツンデレみ」(第2週) | Collector
【風、薫る】“憑依系俳優”上坂樹里演じる主人公・大家直美を解説。口の悪さの裏にある「優しさとツンデレみ」(第2週)
ハフポスト日本版

【風、薫る】“憑依系俳優”上坂樹里演じる主人公・大家直美を解説。口の悪さの裏にある「優しさとツンデレみ」(第2週)

見上愛、上坂樹里がW主人公を務めるNHK連続テレビ小説『風、薫る』。 田中ひかる著『明治のナイチンゲール大関和物語』(中央公論新社、2023年)を原案としたオリジナル作品で、激動の明治、看護の世界に飛び込んだ二人の“トレインドナース”を描く本作において、今回注目したいのは主人公の一人・大家直美(上坂)。モチーフは、日本で初めて個人経営の派出看護婦会を設立した鈴木雅だ。 【画像】 今作とは別人のような、上坂樹里さんの純白ウエディングドレス姿 大家直美(上坂樹里) 「クソ工場、ふざけんな!」口は悪いが、お人好し 直美は生後まもなく母親に捨てられ、物心がついた頃にはキリスト教の牧師に育てられ、教会を転々としてきた。もう一人の主人公・一ノ瀬りん(見上)が栃木県の那須地域で元家老の娘としてのほほんと育ち、「奥様」を人生の“アガリ”と考えてきたのに対し、身寄りがなく何も持たない直美は一見、自立心旺盛な王道主人公に見えなくもない。 しかし、本作の登場人物達は、そんなにストレートではなく、甘くもない。なにせ直美は教会で育ったにもかかわらず、神も信じていないし、人も心からは信じていないのだ。 だからこそ、第1週では、りんの妹・安(早坂美海)の縁談で上京した安と母・美津(水野美紀)がスリに遭った際、そのスリを捕まえてくれたは良いが、「スリなら金持ちから盗めってんだよ」と吐き捨て、美津に「金持ちから盗めというのも間違いです!」と諫められる。 それで反省するわけでもなく、自分を引き取り見守ってきた牧師・吉江善作(原田泰造)から伝道者にならないかと誘われても、きっぱり断り、「“正しい人”が嫌いなんです。“正しい”で生きられる幸せな人が嫌い」と言う。 直美が「正しい人が嫌い」と言うのは、「正しい」で生きられなかった厳しい現実を身をもって知る人だから。朝ドラに多い一生懸命で健気な主人公とは違い、努力論・根性論ではどうにもならない現実を知るリアリストで、ある種の諦念と、同時にしたたかさがあるのが、実に面白い。 例えば「大家」という名前も、明治に名字が義務化され、長屋に住んでいる住人達が「どうせなら店子(たなご)じゃなくて大家がいい」と「大家」を名乗ったのに乗っかっただけ。 直美は教会を転々としてきたために英語が話せるが、当時はそれが仕事につながる時代でもなく、日々マッチ工場で1日働いてマッチ1箱分の給金を得るだけ。 おまけにある日、工場長から本を盗んだ疑いをかけられ、その本に紙幣がはさんであったことから、クビを宣告される。しかし、直美はそれが幼子をおぶって働く同僚のやったことだと気づくが、罪をかぶって辞めることに。「クソ親父のクソ工場、ふざけんな!」と英語で暴言を吐く直美。口は悪いが、案外お人好しだ。 そうした直美の心根の優しさを知るからこそ、吉江は理不尽さに涙し、メアリー(アニャ・フロリス)は宣教師でありながら「その男、ろくな死に方しません!」と憤慨する。いつも怒っていて、口が悪くとも、本人よりも泣いてくれ、怒ってくれる人が周囲にいるーーそこに直美という人物像が見えてくる。 大家直美(上坂樹里) 直美の「器量の良さ」、むしろ足枷に 直美は新たな仕事を探すが、生い立ちが障壁となり、相手にされない。「器量の良さ」も、「誰かのお妾さんにおさまるか、女郎に」と言われ、むしろ自分の力で生きていくには足枷になっているように見える。 直美はメアリーにいつかアメリカに連れて行ってほしいと懇願する。この国では仕事がない、良い結婚話なんてあるわけない、でも結婚しなきゃ女は生きてもいけない、と。 しかし、アメリカ行きだけを心の支えにし、英語の勉強を続けつつ、別のマッチ工場で働き、お金を貯める直美だが、メアリーは伝道のため、突然インドに行くことになったと告げる。メアリーは、やりたいこと・やれることがなければ異国で生きていくのは難しい、それが伝道師としての自分の人生だと言い、直美に問う。 「直美は逃げることだけ? そこで何をしますか?」 そんな直美の運命を大きく変える出会いが訪れる。一人は、“鹿鳴館の華”大山捨松(多部未華子)。もう一人が、娘・奥田環(宮島るか)を連れ、夫・亀吉(三浦貴大)から逃げて上京した、りんだ。住む場所も仕事もなく、途方に暮れたりんと、直美の運命をつなぐのは、「風」ーー環の風車が風で飛ばされ、それを直美が拾ったこと。 環が直美の持つパンに手を伸ばした様子を見て、直美はりんと環に教会の炊き出しを教える。そして、士族の娘として育ったりんが躊躇すると、直美はその見栄の無意味さを指摘、母親として恥ずかしくないのかと厳しい問いを投げつける。そこで、りんの本音がこぼれだし……。 “憑依系俳優”上坂樹里、過去に原田泰造と親子役で共演 のんびり育ったりんに比べ、苦労してきた分、警戒心・猜疑心が強く、現実的でしたたかで、口も悪い直美。 だが、その実、根っこは優しくツンデレみがあり、どちらにも共通しているのは、第1話冒頭で二人が風で転んだお年寄りと子どもにそれぞれ手を差し伸べていること。どちらも聡明であること。そして、小さな違和感に気づき、立ち止まり、疑問を抱くりんと、見栄や理想に縛られず、現実を冷静に見極め、判断する直美とは、トレインドナースとして互いに補い合う相性になりそうな予感がする。 ちなみに、りんを演じる見上愛がキャスティングだったのに対し、上坂はオーディションで2410人の中から選ばれた俳優。『生理のおじさんとその娘』(23年)でオーディションからヒロインに抜擢され、大きな反響を得た。そのときに父を演じた原田泰造が、今回は見守る牧師を演じている。 また、25年放送の日曜劇場『御上先生』(TBS系)のレギュラー生徒・東雲温役や、『いつか、無重力の宙で』(25年NHK夜ドラ)で演じた主人公の親友・日比野ひかり役では、どちらも抜群の透明感と意志の強さを感じさせる目の輝きで視聴者を惹きつけた。 筆者も取材させていただいた機会があるが、ご本人は素直で柔らかで、映像で見る強いオーラとはあまり結び付かない。おそらくいわゆる“憑依系”俳優なのだろう。そうした意味でも、クレバーで論理的な見上愛と、直感型・憑依型の上坂樹里というバディに大いに期待してしまうのだ。 【『風、薫る』人物解説】 連載 第1回「一ノ瀬りん(見上愛)」 Related... 永作博美ドラマ『時すでにおスシ⁉︎』で大反響の“空の巣症候群”とは? 初回に「自分のことかと思った」と共感相次ぐ NHK新朝ドラ『風、薫る』主演の見上愛、直筆文字がすごい!⇨「達筆ですね」「美しい」と話題に 【画像】【風、薫る】“憑依系俳優”上坂樹里演じる主人公・大家直美を解説。口の悪さの裏にある「優しさとツンデレみ」(第2週) ...クリックして全文を読む

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