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死にかけた時に私が見たもの。ステーキが喉に詰まって意識を失った3分半がその後の人生を変えた | Collector
死にかけた時に私が見たもの。ステーキが喉に詰まって意識を失った3分半がその後の人生を変えた
ハフポスト日本版

死にかけた時に私が見たもの。ステーキが喉に詰まって意識を失った3分半がその後の人生を変えた

あれは、夏の終わりの夜でした。夕日が沈みかけ、庭一面がオレンジ色に染まる中、私と夫のロブ、12歳の子どもの3人は一緒に夕食をとるために義理の両親の家を訪れました。 玄関にたどり着く前から食欲をそそる匂いが漂ってきたのを覚えています。 義理の兄弟のデイヴィッドが、通販で取り寄せたちょっと高級なステーキをグリルの前で大事そうに持って焼く準備をしていました。 私たちは家のソファに並んで座り、義理の母が持ってきた家族アルバムを眺めました。 義母が「この1枚はあなたが持っていたら」と言って渡してくれた、ふわっとした髪とぎこちない笑顔の高校3年生の時のロブの写真を、私は財布にそっとしまいました。 夕食の準備ができたテーブルにはキャンドル、ワイン、完璧に焼き上げられたステーキが並べられ、まるで雑誌の写真のようでした。 お腹がぺこぺこだった私は、肉を大きく切り分けて、ほとんど噛まずに飲み込みました。 その瞬間、肉が喉に詰まったのがわかりました。 立ち上がり、咳をしたり飲み込もうとしたりしましたが、うまくいきませんでした。 喉に空気が通らなくなった私は、ロブの方を見て首に手を当て、窒息していることを伝えました。 その世界共通のサインを見てロブはすぐに立ち上がり、「喉に詰まったの?」と尋ねてうなずいた私に何度もハイムリック法を試みました。 それでも肉は詰まったままでした。 肺が締め付けられたように痛み、水中に長く潜っていた時に感じるような、焼けつくような圧迫感が胸に広がりました。 視界は狭まり、音も聞こえなくなっていきました。ロブの恐怖に満ちた目を見つめながら、こう思ったのを覚えています――「息子を、夫を残していけない。今はまだだめだ」 目の前がやさしく静かに、暗闇になっていきました。 その後に起きたことを言葉で表現するのは難しいのです。 私は愛のようなものの中に包まれていました。それは恋愛や家族愛のようなものではなく、もっと広大で永遠で、すべてを包み込むような愛でした。 その愛は繭のように私を包み込み、時間が存在しないかのような感覚になりました。始まりも終わりもなく、言葉も存在しないのに、世界共通の言語を理解しているように感じました。 自分は死にかけているのだろうと理解していましたが、不思議にも恐ろしさは感じませんでした。 目の前に、自分の人生の断片が浮かんできました。いわゆる「思い出が走馬灯のように駆けめぐる」というものです。 優しさや残酷さ、成し遂げたこと、失敗、そして大きな愛。どんな過ちも思いやりと共感で終わってほしいと願いました。許したい、許されたいとも思いました。 ありのままで飾りのない自分をはっきりと見つめていて、これまで生きてきた人生に対する切なさだけではなく、大きな誇りも感じていました。 そして――ドンという音がして、まばゆい光が差し込んできたのです。 大きく息を吸い込むと、空気が一気に肺へと流れ込みました。数秒間かなり混乱して、自分が生きているのか、まだ暗闇の中にいるのかよくわかりませんでした。 ロブの息から、赤ワインとパニックを感じ取れました。彼の額は汗でびっしょりでした。 「よかった……戻ってきてくれて」とかすれた声で言うロブの後ろで、震えるように息を吐いていたデイヴィッドがレースのタイムを測っていたかのように「3分30秒、意識がなかったんだよ」と教えてくれました。 私は重度の低酸素症になるほど長く意識を失っていました。脳への酸素供給が途絶えると、意識を失います。 低酸素状態 が長く続くと臓器がダメージを受ける恐れがあり、酸素が十分に供給されない状態が4分以上続くと、脳の損傷が始まると 言われています 。 デイヴィッドは救急隊員へ伝えられるよう、私が意識を失っている時間を測る必要があると知っていたのです。 死にかけた時に感じたこと この出来事の後、私は自分に何が起きたのかを調べ始めました。すると臨死体験というものが、多くの人が考えている以上に一般的で、研究も行われてきたことがわかったのです。 3500年以上前に書かれたとされる古代の文献『エジプト死者の書』にも、驚くほど似た臨死体験が記されてます。 何千年にもわたり、キリスト教、ユダヤ教、ヒンドゥー教、古代ギリシャ、古代ローマ、イスラム教などの文献に、光やトンネル、過去の記憶が目に浮かんだという体験、生還した後に人生が変わったという証言などが詳述されています。 私が経験した、暗闇や走馬灯のように駆け巡る思い出、圧倒的な愛は、多くの人々の経験として記録されたきたパターンと同じなのです。 この半世紀で心肺蘇生法(CPR)や蘇生技術が劇的に進歩したことで、より多くの人々が生還し、臨死体験を報告するようになっています。 ある 研究 では、生死をさまよった人の17%が臨死体験をしたと答えています。 ただし、臨死体験に対する懐疑的な声が多いために語らない人もいるので、実際の経験した人の割合はさらに高い可能性があります。 臨死体験の原因についてはわかっておらず、科学者たちは議論を続けていますが、驚くほど広く記録されている現象であることは数字が示している一つの明確な事実です。 ロブは、意識を失った私を床に横たえて心肺蘇生を始めたと教えてくれました。デイビッドは救急車を呼び、子どもに外に出て待つよう指示しました。 CPRがうまくいかなかったロブは、なんとか喉に詰まった肉を取り除こうとして私の喉に指を突っ込んだそうです。それでステーキの位置がずれたことで、私は再び呼吸できるようになったのです。 意識を取り戻した時に、私は大丈夫だと言い張りました。病院に行ってせっかくの夜を台無しにしたくなかったのです。立てるようになるとすぐに帰宅しました。 ただ眠って、何事もなかったかのように過ごしたかったのですが、翌朝に痛みが現実を思い出させました。 ハイムリック法のせいで、呼吸がほとんどできないくらい肋骨に痛みを感じました。病院でレントゲンを撮ると、打撲はありましたが骨折はしていませんでした。 「奇跡的に運が良かったですね」と医師に告げられました。 その夜は息をするたびに痛みましたが、苦しみはありませんでした。その痛みは自分が生きている証であり、死の淵から引き戻してくれたのだと感じさせてくれるものだったからです。 驚くべきことに、ロブは31年間CPRの講習を受けていなかったそうです。 (右から)筆者、夫、子ども その後の数日間、私は意識を失う直前の瞬間とロブの顔を何度も思い返していました。 私たちは結婚して15年になりますが、長い結婚生活によくあるように、ストレスを感じたり、距離ができたり、心が乱れたりするような時期もありました。 でも、自分の命が危険にさらされたあの瞬間に私が見たのは、揺らぐことのない無条件の愛だけでした。 その愛が暗闇の中から、私を大切な人たちのもとへ、人生へと引き戻してくれたのです。 臨死体験はどんなものだったかとよく聞かれます。それは言葉では言い尽くせないほど美しいものでした。私が感じたものが無限の愛だったからです。 でも私に言わせれば、本当の奇跡とは生還したことだけではなく、幸運にも戻ってこれた時に、その後をどう生きるかなのだと思います。 私は今、自分がいつか死ぬ時には、世界を少しでも優しく、より良い場所にして去ることができていたらいいなと願っています。 窒息していたあの時に、何が起きていたのかは正確にはわかりません――それが単に酸素不足に対する脳の反応だったのか、科学では説明できない何かだったのか。 ただひとつ確かなのは、戻ってきて私は変わったということです。 走馬灯のように駆け巡る人生の思い出の中で、自分の欠点に気づき、自分自身や他者を許すことの大切さを理解しました。たとえそれが受けるに値しないものであっても。 以前は、許しとは他人に与えるものだと思っていましたが、今では自分自身に与える贈り物なのだと感じます。 より良い人間になるために、自分の生き方を変える必要があるとも気づきました。たとえどんなに小さなものであっても、優しさや思いやりは不可欠で、永遠に続くものだということを理解しました。 私は今、毎朝早起きしてジョニー・ナッシュの「I Can See Clearly Now」を流します。 キッチンの窓から差し込む朝日の光の中でコーヒーをすすりながら、世界が目覚めていくのを眺めていると、もう一日長く生きる機会を与えられたことへの感謝の気持ちから大粒の涙がいくつか頬を流れ落ちます。 ロブがあの時に感じた恐怖と愛を思い出し、彼へ、世界へ、そして人生へ戻る前に垣間見た、あの永遠の愛へ静かに感謝をささやきます。 私はもう死ぬことを恐れてはいませんが、今生きている人生を離れる準備ができているわけでもありません。 あの経験の後、愛はいつも劇的で映画のようなものではないということを学びました。 愛とは時に、冷静にあなたの命を救ってくれようとしてくれる人、救急車を外で待つ幼い子ども、生きていることを教えてくれる肋骨の痛みなのです。 私たちを何度でも人生へと引き戻してくれるすべてのものが愛なのです。 筆者:ケルシー・アバーナシー・マクリーン。ペンシルベニア州を拠点に活動する作家。人生の変化やサバイバル、日常に隠された特別な瞬間をテーマに執筆。愛や感謝、幼少期の経験、思いがけず学んだ教訓などについてのエッセイ集を執筆中。ウェブサイト kelseyblog.com 。 ハフポストUS版 の寄稿を翻訳しました。 Related... 私が男性のマッサージを止めて「女性限定」にした理由。ある顧客の行為で安心して働けなくなった Gmailのアドレスが変更可能に。気に入らなくなったアドレスを削除せずにアップデートする方法とは? 自分で「良い上司」だと思っている実は「ダメな上司」の7タイプ。有能と思っているのは本人だけかもしれない… ...クリックして全文を読む

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