ハフポスト日本版
東京都足立区の公式X(@adachi_city)がこのほど、「生活保護の申請は国民の権利です」「ためらわずにご相談ください」と呼びかけたことが話題になっている。 X上でも8千以上の「いいね」がつき、「素晴らしい」「これを明言することの意義はある」「全ての自治体がこのアナウンスして欲しい」との声があがっている。 ハフポスト日本版編集部は、足立区に呼びかけの背景を取材した。 「生活保護を必要とする可能性はどなたにもある」「ためらわずご相談ください」 足立区役所のXによる生活保護についての投稿 話題になった足立区によるX投稿は、生活保護についての以下のような呼びかけだった。 《生活保護の申請を考えている方へ 生活保護の申請は国民の権利です。生活保護を必要とする可能性はどなたにもあるものですので、ためらわずにお住まいの地域を担当する福祉課にご相談ください。 足立福祉事務所各福祉課》 投稿にリンクが添えられた区のサイトにも、同じ文言が赤字の太字で記載され、区内の福祉課の情報一覧へのリンクが紹介されている。 生活保護をめぐっては依然として強いスティグマがある中、このように呼びかける姿勢に、肯定的な声が寄せられた。 「周知徹底すべき」議員の提案で呼びかけスタート 足立区の報道広報課は取材に対し、呼びかけは2021年から、「2カ月に1回のペースで発信している」と回答。きっかけは、議員からの提案だったという。 「足立区議会の令和3年第1回定例会において、議員より『若い方で生活保護の制度を全く知らない方や生活保護にネガティブなイメージを持った方にも早い段階で福祉事務所への相談に繋がるよう周知徹底すべき』という質問があり、ツイッター(現X)やフェイスブックの活用をすると答弁したことによるものです」 Xの他に、区のサイトやFacebook、ポスターなどで周知している。 生活保護をめぐっては、福祉事務所が申請した人の親族に「援助が可能かどうか」を確認する「扶養照会」が申請時の大きなハードルとなってきた。 親族との関係は人それぞれで、扶養照会があるなら生活保護を受けたくないと考える人も少なくないからだ。 これについては運用を改善すべきとの声も多く、 署名活動 なども行われていた。 結果、厚生労働省は扶養照会の運用を改善。足立区のウェブサイトでも、以下のように呼びかけている。 《扶養義務者の扶養は「保護に優先して行われる」ものと定められており、「保護の要件」とは異なる位置づけのものとして規定されています。 要保護者の生活歴等から特別な事情があり明らかに扶養ができない場合等は基本的には扶養照会を行いません ので、担当する福祉課にご相談ください》 朝日新聞の報道によると、扶養照会の割合は自治体によって差がある状況になっているが、足立区は2021年度で 17.6% と全国的にみても低い照会率になっている。 足立区はさらに、以下のような取り組みを行っていると説明した。 「申請書をいつでも書いていただけるよう準備し、いつでも申請できるということをお伝えして面談に臨むといった対応をしております。また、扶養照会におきましては、申請時に扶養義務者申告書という書類を記載していただいておりますが、扶養の期待可能性の低い親族についてはその理由を番号で記載していただき、扶養照会しない対応をしています」 呼びかけ、他の自治体でも 生活保護申請をめぐっては各地で、窓口で申請を断念させようとする「水際作戦」を経験したという声も多く報告される中、自治体による積極的な相談の呼びかけは、申請をためらう人にとって大きな後押しになる。 生活保護申請を「国民の権利」とし、相談を呼びかける取り組みは、他の自治体でも行われている。 杉並区はこのほど、生活保護について周知する ポスター に4種類を追加。岸本さとこ区長もXで、「生活の困りごとは自己責任ではありません。生活保護は要件を満たす限り、だれでも平等に受けることができます」と 呼びかけ た。 生活保護について呼びかける中野区のLINE(左)と杉並区のポスター(右) 中野区 では以前から、「生活保護の申請は国民の権利です」「ためらわずにご相談ください」とLINEやX、ポスターなどで呼びかけ。 中野区健康福祉部の担当者は2022年、BuzzFeed Japan Newsの取材に「生活保護は、生活の立て直しをするためにあり、社会の中で必要とする人に利用されてこそ意味があります」と 語っていた 。 (取材・文=冨田すみれ子/ ハフポスト日本版) 【あわせて読む】 「家なき人」と一緒に傷つき、怒り…。「SOSが途切れない」現場から見えた“やさしくない日本社会”と、居場所作りの意味 Related... 高市新総裁の誕生と相談現場に溢れる悲鳴、そしてまた一人命を落とした「生活保護引き下げ訴訟」の原告 「家なき人」と一緒に傷つき、怒り、見えてきた日本社会。コロナ禍で困窮した人たちは今 「お金がないこと」を負い目に感じなくていいカフェがある。「やりなおせる社会」にするため。みんなのための“居場所”が教えてくれること ...クリックして全文を読む
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