ハフポスト日本版
NISA /片山さつき財務相 採用支援などを手掛ける「ジェイック」が4月に実施した新入社員対象のアンケート調査で、初任給の使い道(複数回答)で「NISAなどを通じた投資」と答えた人は19.4%に達した。(調査対象:247名、期間:2026年4月3日~4月10日) 前年度の結果と比較すると5.5ポイントの大幅増となり、全体の約2割が初任給から資産運用を意識している現状が明らかとなった。 【画像】 若者たちに「投資優先」が加速…調査結果はこちら 使い道のトップは「親や家族へのプレゼント」(74.9%)だったものの、各項目の増減幅に目を向けると、「投資」の伸びが最も顕著だった。 一方、かつて新入社員の定番の使い道だった「スキルアップなど自己投資」という回答は4ポイント以上減少した。お金を自己成長や経験ではなく、資産運用に使う若者が増えているとみられる。 投資環境の変化とSNSが助長する「FOMO」 若者たちが資産運用に積極的な背景には、投資環境の変化とSNS時代の心理的トレンドとが絡み合っている。 まず、国を挙げた「貯蓄から投資へ」の政策転換の影響が大きい。新NISA制度の定着に加え、近年の学校現場における「金融経済教育」の義務化により、若い世代にとって投資は「ギャンブル」ではなく、身近なものとして捉えられるようになった。さらに、スマートフォンのアプリで、気軽に投資できるインフラが整ったことも、ハードルを下げている。 さらに、日米をはじめとする主要市場で史上最高値圏を更新し続ける「世界的な株高トレンド」が、若者の背中を強く押している。物価高が進むなか、実質賃金の大幅な伸びが見込めない若者たちにとって、好調なグローバル市場に資産を投じる動きは、「生活防衛」であるという見方もできる。 しかし、この戦略には、SNSによって増幅された「FOMO(フォーモ:取り残される恐怖)」の影響もあるとみられる。 タイムラインに日常的に流れてくる投資の成功体験や「やっていない人は損をしている」といった風潮が、同調バイアスを刺激している可能性もある。 物価高や格差といったマクロ経済の構造的変化に対抗しつつ、好調な市場から取り残される恐怖をきっかけに若い世代が投資へ向かう動きは、日本に限ったことではない。欧米やアジア圏など、世界的な株高に直面する主要国のトレンドとなっている。 「NISA貧乏」で自己投資や体験が置き去りに 若い時期から長期の資産形成を始めること自体は、複利のメリットを最大限に活かせるため、一般的には推奨される。政府も、2027年1月から18歳未満を対象とした新しい「こどもNISA」の開始を予定しており、国を挙げた投資推進の姿勢は今後さらに加速していく見込みだ。 しかし今、そうした空気感や将来への不安の反動から、生活費や自己投資の資金まで株に回してしまう「NISA貧乏」への懸念の声が上がっている。3月の衆議院財務金融委員会でもこの問題が取り上げられ、片山さつき財務相が若年層の過度な投資による生活苦などに対して「積み立て自体の目的化はまったく意図していない 」と述べ、政治の場でも議論となった。 20代前半という時期は、読書や資格取得、人脈作りや多様な人生経験など、将来の「稼ぐ力(人間資本)」を高めるための自己投資が最も高いリターンを生む時期でもある。「FOMO」の影響を受け投資運用にのめり込むことが、中長期的なキャリア形成の課題になる可能性もある。 今回の調査結果は、目先の運用益と将来の「稼ぐ力」を高める自己投資とのバランスをどうすべきかという新たな課題も突きつけている。 【合わせて読みたい】 【新NISA】オルカンとS&P500の“運用成績”を徹底比較。月3万円を3年間投資したら?金額差はいくらになる? Related... 【画像】新入社員の2割が初任給を投資に、調査で明らかに。片山さつき財務相も「NISA貧乏」など、若者の過度な投資には懸念を表明 「こどもNISA」2027年開始へ。「オルカン」「S&P500」投資シミュレーションでどうなる?高市政権で閣議決定 「こどもNISA」は親の年収で将来が左右される?⇨片山さつき財務相が示した「格差が固定化しない配慮」とは(衆議院本会議) ...クリックして全文を読む
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