「被曝で死亡」とした“福島映画”に、県幹部は「国と情報共有した」一方監督は「事実」と取材に明言
ハフポスト日本版

「被曝で死亡」とした“福島映画”に、県幹部は「国と情報共有した」一方監督は「事実」と取材に明言

非科学的な情報や描写が盛り込まれた 「福島題材の映画」 が国内外で上映されていた問題で、監督・脚本を務めた松井良彦氏が3月21日、大阪市内でハフポスト日本版の取材に応じた。 松井監督はこれまで、映画の配給会社を通した取材申請には応じてこなかった。 映画には、主人公の母親が東京電力福島第一原発事故による被曝で死亡したとする設定や、若い男性が鼻血を伴って倒れる描写などが含まれている。 こうした設定や描写について、松井監督は 「事実」 との認識を示した。 一方、福島県がこの映画について、国と情報共有したことも判明。県幹部は取材に、 「情報をアップデートしていく」 と話している。 【関連記事①】“福島題材”の映画に「母を被曝で亡くし」「子どもを産めない」。海外映画祭でも上映、専門家は「差別助長」懸念 【関連記事②】映画が拡散した“誤った福島像”。この15年、風評加害側の責任は「放置」されてきた【専門家インタビュー全文】 映画「こんな事があった」はオランダのロッテルダム国際映画祭や、日本各地のシアターで上映された(3月16日、埼玉県川越市で) オランダの国際映画祭で上映 映画は 「こんな事があった」 。有名俳優らが多数出演しており、2025年9月13日から全国で公開されている。 また、2026年1月29日〜2月8日に開催されたオランダのロッテルダム国際映画祭でも招待作品として上映された。 舞台は2021年夏の福島。主人公・広瀬アキラは、10年前の原発事故による被曝で母親を亡くしたという設定で、公式ウェブサイトにも明記されている。 記者(相本)が映画を確認したところ、作中には現在の科学的知見と整合しない描写が複数含まれていた。 例えば、被曝で死亡したというアキラの母親の死因が心筋梗塞であったことに触れ、 「ここじゃあ歳に関係なくそんなのばっかだ」 という趣旨のセリフが出てくる。 若い男性が駐車場で突然倒れ、マスク越しに鼻血の染みが映し出される場面や、鮮魚コーナーに並んだ東北産の魚に対し、女性が 「だめ」「なんにも食べられない」 と語る場面もある。 さらに、 「帰ったら行けない所に帰らされた」 というセリフや、原発事故の影響で子供を産めないと受け取れる描写も確認された。 「母親を被曝で亡くし」という記述がある 松井監督は取材に「事実」 放射線の影響を科学的・中立的な立場から評価する国連の専門機関 「原子放射線の影響に関する国連科学委員会」 (UNSCEAR)は、福島で起きた原発事故に伴う被曝について 「健康影響が確認されるレベルではなかった」 と結論づけている。 一方で、福島の人々は原発事故後、根拠のない情報によって、結婚や出産など人生の様々な場面で差別や偏見を受けてきた経緯がある。 記者が松井監督に接触したのは3月21日夕。大阪市内の雑居ビル出入り口付近で声をかけると、松井監督は名刺を受け取り、その場で取材に応じた。 記者が 「科学的に誤った情報が世界に発信されると、福島の人たちが差別や偏見を受ける可能性がある」 と質問すると、松井監督は 「これはもう科学的な事実だとか、実際にルポタージュを書かれた人のこととか」 と語った。 奇形の花については経済誌に書かれていたとし、 「信用できる媒体に載っているものとか、僕が調べて確実に、先生方に連絡して、これは事実ですか?と聞いたら事実だと」 と述べた。 そして、 「事実と間違ったことは描いてない。どこで上映されても僕は出向くし、そういうディスカッションもする」 と話した。 前述の通り、映画には原発事故の被曝で死亡したという設定や、若い男性が鼻血を伴って倒れ、その後に死亡するというシーンが描かれている。 記者が最後、このような映画の内容は事実かと改めて問うと、松井監督は 「事実」 と明言した。 松井監督は同日昼過ぎ、大阪市内のシアターで開かれたトークショーにも登壇していた。 その際、参加者から 「若者が( 鼻血を伴って)倒れて亡くなる描写などは実際に聞き取りであったのか」 と質問されると、松井監督は 「被曝をして鼻血が出るというシーンがあったと思うが、鼻血が収まらなくて、 被曝によって鼻血が出て、それが死につながってしまった」 と描写について説明。 「そういうことは日常であったのか」 という問いには、 「あります」 と答え、 「線量を浴びて安全値はないと(原発)推進派が言っている。線量が仮に1ベクレルでも反応する人もいるし、しない人もいる」 と主張した。 さらに、 「遺伝子が傷つけられると、ある日急に関節が曲がらなくなったり、目が見えなくなったり、そういうことがある」 と語り、次のように述べた。 「鼻血が止まらない幼稚園児を抱えた人と会った。極力東日本から離れ、その土地で普段の生活をすると、徐々に鼻血の出る量が少なくなったり、ある日は出なくなったり。『あのまま福島にいたら私の娘はどうなっていたかわからない』という話を聞いた」 松井監督が取材に応じた雑居ビルの出入り口付近(3月21日、大阪市内で) 福島県は取材に 福島を題材とする作品を巡っては、科学的根拠に基づかない描写が社会問題となったケースがある。 漫画雑誌 「週刊ビッグコミックスピリッツ」 に2014年、東京電力福島第一原発を訪れた主人公らが鼻血を出す場面などが描かれた際は、福島県や地元自治体から抗議の声が上がった。 今回の映画について、ハフポスト日本版は福島県の内堀雅雄知事に見解を尋ねたが、県風評・風化戦略室を通じて 「個別には応じられない」 との返答があった。 一方、同室によると、今回の映画について 「国と情報共有を行った」 という。 同室の松本瑞穂主幹は、 「震災後の福島に対する誤ったイメージを持っている人は一定数いる。県としては情報をアップデートしていき、そのような人が少なくなるように正しい情報や魅力を発信していく」 と語った。 Related... “福島題材”の映画に「母を被曝で亡くし」「子どもを産めない」。海外映画祭でも上映、専門家は「差別助長」懸念 映画が拡散した“誤った福島像”。この15年、風評加害側の責任は「放置」されてきた【専門家インタビュー全文】 「それでも語られない」福島の実害。政治家の「汚染水」、“争点にならない現実”【衆院選2026】 ...クリックして全文を読む

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